津軽三味線の構造について。
こんにちは、かんちゃんです。
今回も津軽三味線の構造について説明します。
津軽三味線がどおして良い音が鳴るのか?
前回は皮の説明でしたが、実は棹にも良い音を出すためのメカや工夫があります。
サワリ
まずは「サワリ」というメカ!
このサワリは棹の糸蔵の下の膨らんだ場所(ちぶくろ)についています。
白くて縦長の長方形のメカがサワリです。
このサワリは一の糸にしか付いてません。
サワリの上のゴールド色の物が上駒と言われてて糸蔵から、安定して絃を太鼓へ送り出すブリッジですね。
そしてブリッジの一の糸がかかる所だけ、凹んでますよね。
これは一の糸がサワリに安定してかかるように絃がハマるようになっています。
このサワリとはどのようなメカなのかというと。
このサワリは裏面にネジが付いていて、回すとサワリが出たり引っ込んだりして。
一の糸にこのサワリが微妙に接触するとリバーブ効果が出るようになっています。
ちゃんとネジとサワリの間にはバネが入っていて上手い事動作するようになってるんですよ!!
しかもこのサワリ、一の糸でバッチリ効かせると二の糸や三の糸にも効果が現れます!!
更にビックリですよね!
しかし条件があって、調弦が合ってないと二の糸や三の糸はリバーブ効果が出ないんですよ。
津軽三味線の唸るような綺麗な音色はこのサワリの効果が物凄くかかわっています。
そして調弦がビッタリ合い、抑えるツボも正確に運指してサワリが付いて演奏者の技術のユスリが加わり、あの白川軍八郎の様な音色が出てくるわけなんですよ。
ちなみにサワリの材質は紅木だったりしますが私は象牙を使用しています。
画像のサワリは象牙です。
※この象牙はワシントン条約が設立される以前に輸入されてる物です。
棹
そして津軽三味線の棹にも大きな工夫がされてて、津軽三味線の音に大きな影響を与えてます。
実は津軽三味線の棹は、真っ直ぐで直線ではないのです!!!
文章では上手く説明できないのですが、絃が貼ってある棹の面が反ってるんですね。
見えずらいかもしれませんが、絃と棹の面を良く見てみると。
棹の真ん中の方が若干下がってるのわかりますかね?
ちなみに太鼓側のコマは外してます。
これ、ただ単に湾曲させてるわけではないようで湾曲のつけ方で音が全然違ってくるようです。
どうして湾曲してるかというと。
まず、直線だと絃を指で押さえた時に棹との角度が浅くなり絃の振動が棹に伝わってしまい不快なビビり音が出てしまうんですよ。
その不快なビビり音を最低限出さないように棹を湾曲させて絃と棹の角度を深くして絃の振動が棹に伝わらないようになってるんですね。
津軽三味線って本当に物凄く微妙な計算の元、もの凄く精巧に作られてるんですよ!
なので、演奏し続けると棹の表面の指で押さえるところが減ってしまい。
角度が浅くなり、不快なビビり音が出始めます。
この事を「カンベリ」と言います
指で押さえる勘所(ツボ)が減るという事からカンベリと言われ。
こうなると棹の表面を研磨しなくてはなりません。
音緒(ねお)
この音緒は太鼓側で絃を留めておく物です。
1本の正絹製の紐からできてます。
結構、入り組んで編み込まれてますが解くと1本の紐です。
値段も色々ありますが、安価なものは正絹製ではないようなのと音緒は伸びては絶対にダメなのに安価なものは伸びるらしいです。
私は正絹製しか使用したことが無いので何とも言えませんが。
音緒が 伸びると絃の張力も変わってきて調弦が狂ってきてしまうのでまずいですよね。
絃
絃は昔は全て絹糸でした。
現在の津軽三味線においては絹糸は一の糸のみになってしまいました。
わずかですが二の糸に絹糸を使ってる方もいますが。
素材 太さ・編み込みの強さ
一の糸 絹糸 25~30番
二の糸 ナイロン・テトロン 14~16番
三の糸 ナイロン 13~16番
なぜ一の糸以外は絹糸ではなくなったかというと、仁太坊の言葉の通り!
「人真似だばサルでもできる、なの三味線ふげ」
の通り、演奏スタイルがどんどん進化して叩き撥の強さが増してきているのとスクイ撥の多用による絹糸の破断が出てきてしまい。
強度のあるナイロン弦やテトロン絃が普及してきたのだと思います。
後記
この様に様々な工夫がなされて津軽三味線は良い音色が出るようになってるんですね。
そして数ある弦楽器の中でも津軽三味線は楽器自体の性能よりも演奏者の技術によって音色の差が出る楽器だと思います。
次回からは津軽三味線の技術について説明させていただきます。
拝読していただきまして、ありがとうございます。
次回もどうぞ宜しくお願いいたします。